。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「奏歌ちゃん、ちょっといい?」

「えっ?うん」

尚斗クンが、授業が終わるとすぐに、あたし

の席に来て、あたしを呼ぶから、すごくびっ

くりした。

いつも、あたしから行くから。

…奏から、逃げたくて。

尚斗クンは、奏を見た。

見たというより、睨んだ…かも。

「次の授業、サボりでいい?そこの授業内容

は、今度しっかり、教えるから」

「うん、教えてくれるなら…」

「じゃあ、行こう」

尚斗クンが早足で行くから、あたしは、ほぼ

走っている。

着いたのは…屋上?

「尚斗クンなっ…」

何?

そう言おうとしたのに、言えなくなってしま

った。

尚斗クンが、勢いよく後ろを向いてきて、あ

たしは、歩み寄っていて、思いっきりぶつか

って…

あたしは、尚斗クンに抱き締められた。

「あっ、ちょっ…尚斗クン!?」

びっくりして、離れようと思ったけど…

あたしも突っ込んじゃったから、しっかり尚

斗クンにはまってしまって。

強く抱き締められちゃったから、全く動けな

くて。

「俺…ずっと、奏歌ちゃんが好きだった。図

書室で、泣いてる奏歌ちゃんが、好きで、笑

顔も見てみたくなって、笑顔見たら、もっと

好きになって」

「そんな…冗談言わないでって」

「本気だから。…あいつなんか、忘れなよ。

俺を見なよ…」

「えっ…」

あたしは、今…尚斗クンに告白されてる?

あいつって…誰?

誰…のコト…?

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