。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

-あたしの瞳の色-

「……碧」

入学式から、だいぶ経って。

あたしは、龍月に入って。

で、普通に生活してました。

「あっ…」

楢崎龍。

「……帰り支度しろ」

「えっ?まだ、授業…」

「……いいから。早くしろ」

「あぁ…はい」

ヤバくないのかな~。

サボりだよ。

「…あの」

「……早く行くぞ」

さっきから、急いでるな~。

「…あの、どこ行くんですか?あとで、学校

戻ってきますか?」

「……帰ってこねぇよ」

「じゃあ、ちょっと電話しても…」

「……いいよ」

ケータイ。

『…プルプルプル。あっ、碧サマ?どうしま

した?』

「柚希さん。サマと敬語、やめてください。

あの、今日は迎えいいです」

『そうですか?わかりました。では、お気を

つけて、お帰りください』

「は~い。じゃあ、親父をお願いします」

…親父、大丈夫かな。

「……碧?今の誰?」

「…えっと、うちの…というか、俺の運転手

です」

「……運転手ね。はい」

えっ?

なに、ヘルメット?

「……バイク、乗ってくから。俺の後ろ乗っ

て?」

「…はい」

「……あっ、それお前の」

「え?」

ヘルメットと指して、楢崎龍が言う。

「……みんな、自分のヘルメ持ってんだ。そ

れ、お前用だから」

「…くれるんですか?」

「……幹部になった奴に、プレゼントだ」

龍のマークと、そのまわりに桜が描かれてる

ヘルメットだった。

「ありがとうございます。…あの」

「……あ?」

「俺…総長のこと、なんて呼んだらいいです

か?」

「……俺?龍でいいけど?」

「じゃあ…龍さんって呼ばせてもらいます。

龍さん、どこに行くんですか?」

「……行けばわかるから。」

「あっ、はい」

……やっぱ、冷たい?

「……後ろ、乗れ」

なんか、緊張する。

「……しっかり掴まってないと、振り落とす

からな」

…怖いです。

掴めないです。

…なんか、緊張するし。

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