。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「…龍、あたしキレそう」

「……俺に、被害ないようにな」

「…うん」

「なにコソコソ話してんの~?てか、君の名

前は?」

…今だに、龍の女であるあたしを口説いてる

海。






「桜吹雪碧だ~!!忘れんなや!!」





あ~、あたし。

こんな言葉遣いだったかな?

「碧!?お前、女装の趣味あったのか!?」

また、いつものように笑いの止まらなくなる

怜さん。

「違うし!!」

「わはっ。りゅっ、龍も、そのドッキリに付

き合ってたのか!?お前ら、おもしれぇな!!あ

はははは!!」

…あぁ、あたしは男として認められていたみ

たいだ。

この、バカたちに。

「だから、女なの!!」

「碧!?龍さんと一緒に、宇宙からの侵略者に

騙されてるの!?」

空…黙ってて。

「あ~お~い~!!」

…あぁ、聞こえてきた、いつもの声。

「あっ、碧!!今日は、女の姿なんだね?久し

ぶりに見たぁ!!何年ぶり!?やっぱ、碧は女の

ままがいいよ!!」

ギュッと後ろから抱きつかれながら、あたし

は彼氏と手を繋いでる。

これ、変だよね?

すっごく、変だよね?

「もう、翔離してよ!!あたし、もう彼氏いる

んだからね?」

「関係ないもん。碧は、一生俺のもん!!」

「…翔、俺と一発殺りてぇのか?」

「あぁ、もうっ!!龍も翔も喧嘩しないで」

「…龍月総長、なめんじゃねぇ」

「俺がいつから、碧のこと見てきたと思って

んです?龍さんとは、歴が違うんです」

…すでに、両方が相手の胸ぐら掴んで、睨ん

でいる。

「龍さん、碧!!宇宙の侵略者…」

「碧、さすが!!可愛い顔してたもんな!!あは

はははははは」

「なぁ~、碧~!!お前に女、紹介するわ~。

変な趣味に走んねぇように」

あぁ、殴りかかってるよ、龍と翔。


―パシッ


< 302 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop