。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「儚くんっ…」

結愛の親友、山梨≪やまなし≫がくる。

「…山梨」

「ごめんねっ…ごめん…あたし…あたし…」

「落ち着け」

「あたし、知ってたの。結愛が…ストーカー

に困っていたことを…」

「えっ…」

知っていた…?

じゃあ、じゃあ、じゃあ!!

なんで…

「なんで、教えてくれなかったんだよ!!」

「…結愛に、止められてたの」

「えっ…」

「…今、警察が調べたとこ、相手のホームレ

スは、ただトラブルになり、結愛が殴りかか

ってきたから、自分の身を守るためにやった

ことだとか言ってて…」

それ、どういうことだよ!?

「警察は、本人の証言を信じてるの。でも…

結愛に、あのホームレスがストーカーしてい

たのは、事実だから、結愛は、カメラを捕ら

れそうになって、トラブルになっちゃって、

殺されたんだよ…」

結愛は、殺された…?

「だから結愛は、儚くんには言えなかった。

儚くんが自分のために、相手のホームレスと

トラブルになったら…どうしようって思った

んだよ…」

結愛…俺のために…?

「結愛は、儚くんを巻き込みたくないって言

ってたもん…」

「……結愛…」

「ごめんなさい…」

「ありがとう…山梨」

「えっ…」

「このことを、教えてくれてありがとう」

山梨が教えてくれたから、俺の考えは、まと

まった。

「結愛に言われたこと…守ってくれて、ありがとう」

「儚くん…」

「俺は、次の目標が見つかったから、山梨も

、頑張るんだ」

「…うん」

山梨が、家に帰った。

俺は、結愛の部屋で、ひとり、泣いていた。
< 6 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop