。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

涙は枯れない

「…待っててねってなにを?」

「なんでもないよ」

涙が、ぴったり止まった。

君に、こんな姿を見せたくなかったから。

君への愛を、誓うため。


誰もいない、君の部屋。

君のいた、温かさが、まだ残っているよ。

結愛の部屋の、結愛の机の上には、俺があげ

た、授業をまとめたノート。

それと、そのノートを見て、また結愛なりに

まとめたと思われる、違うノート。

…この頃は、まだ付き合ってもいなかった。

まだ、俺が結愛に片想いしていた頃。


勉強の仕方がわからない…とぼやいていた結

愛に、俺からのプレゼント。

受け取ってもらえないと思ってたけど、笑顔

で受け取ってくれた君。

2冊のノートを抱き締めた。

「…結愛、もう少し待っていてね。俺が迎え

に行くからな」

結愛…

俺、結愛の代わりに頑張るよ―…




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