。*雨色恋愛【短編集】*。(完)
「おいっ、アホ」
昨日言われた、光輝クンの集合場所に行って
待ってた…はず。
「ん~、光輝クン?」
「ったく、人と待ち合わせしてる時に、寝て
んじゃねぇよ、バカ。てか、んなとこで普通
寝ねぇだろーが」
「ん、あたし寝てた?」
「アホか。寝てただろ」
寝てたんだ…
「寝てたの!?」
「…反応遅っ」
「どっちでもいいよ!!あたし、変な顔してな
かった?やだ~、どうしよっ」
「…バカだ、お前」
「…バカだもん」
「んなこと気にしてねぇで、早く行くぞ」
「…はぁあ」
「ったく」
落ち込んで歩くのが遅いあたしに、痺れを切
らせたのか、あたしの手を掴んで歩き出した
光輝クン。
「えっ?」
「バカだからはぐれそうだし、俺が連れてっ
てやる。バーカ」
バカばっか言われてる…
でも、そんなことにショック受けてられない
…よね?
だって、だって!!
今、あたしと光輝クンが手を繋いでる!!
どうしよ…
ドキドキが止まらないよ。
緊張しすぎて、手、震えてないかな?
顔、おかしくなってない?
「………」
沈黙。
けど、あたしからは話しかけられない。
でも…
話さなくていい。
光輝クンと手を繋げてるだけで、あたしは幸
せだからね…
あたしの手が、光輝クンが好きって叫んでる
よ…