。*雨色恋愛【短編集】*。(完)

俺のやり方

「佐々木さん」

結愛がいない学校。

そんなの、全く意味がないけど…

ある目的のため。

俺は、全く意味のない学校に行く。

「…儚くん?」

「俺、佐々木さんに話があるんだ」

「えっ…うん」

ちょっと、顔を赤くした佐々木花菜。

お前がそんな表情しても、可愛くもなんでも

ねぇよ。

学校は変わっていない。

結愛が死んだのに、みんな普通に生活してい

る。

俺は…少し変わった。

俺は、もともて目が悪くて、コンタクトをし

ていたんだけど、コンタクトをやめて、メガ

ネにした。

メガネという、自分と他人との境界線を作り

たかったんだ。

俺の心を見られないように、壁を作りたかっ

た。

「儚くん、メガネにしたんだね。頭の良さが

引き立って、すごくカッコイイよ」

お前にそんなこと言われても嬉しくねぇよ。

結愛が、俺のメガネ姿がカッコイイって言っ

てくれるなら、俺、ずっとメガネをかけない

よ。

結愛の前以外は。

「そんなことないって。それよりさ…」

佐々木花菜に近寄って、壁に追い込み、目を

見つめ、笑う。

「俺、ずっと佐々木さんを見ていたんだ。ず

っと…」

「えっ?」

「意味、わかってくれた…?」

「あたしもっ…あたしも、儚くんのことが好

きだよ」

あたしも…だって。

意味、わかってねぇじゃん。

俺がお前を見てたのは、お前が結愛をいじめ

てたのを知ってたからだよ。

好きだからじゃねぇ。

まぁ、そう受け取ってほしかったんだけど。

好きって言葉は、結愛専用だから。

「じゃあ…」

「うん。付き合おう?」

「うん」

こうして、俺の復讐ゲームはスタートした。



そして、1ヶ月後。

佐々木花菜は、死亡した。
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