接吻ーkissー
由良…!

彼女の名前を呼ぼうとしたけれど、塞がれた唇によって飲み込まれてしまった。

改めて告げられた彼女の思いが痛いくらいに伝わってくる。

放心状態になっている私に、唇が離れた。

「――別れて」

由良が言った。

「彼氏と別れて」

そう言った由良の声は、もう泣き出しそうだった。

「彼氏と別れて、わたしを選んで…!」

そう言った後、由良が私の肩に顔を埋めた。

フルフルと、彼女の躰が震えている。

そんなの無理だよ…。
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