接吻ーkissー
一生忘れないように、竜之さんを受け入れたい。

躰にも心にも、竜之さんを刻みたい。

彼は私の、たった1人の私の好きな人だから。

世界で1番大好きな人だから。

「――たっ、たつゆ…竜之、さん…」

「――ッ、はあっ…」

お互い、余裕なんてないに近い。

いや、もうそんなもの自体ないと言ってもおかしくないかも知れない。

「――璃音、好きだ…」

彼が耳元でささやくように言った。

シン…と、躰に彼の声が深く染みて行った。

「――私、も…」

消え入りそうな声だったのに、竜之さんはわかったと言うように笑った。

その瞬間、私は意識を手放した。
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