接吻ーkissー
首を動かして辺りを見回すと、
「――あった!」

何かの店の下に、私は駆け込んだ。

しばらく雨足が弱くなるまで待とう。

何気なくドアにもたれかかったその時だった。

ガチャッ

「――痛ッ…」

ドアが開いたらしく、ゴンッと後頭部をぶつけた。

「おい、大丈夫か?」

その声に視線を向けた瞬間、私の心臓がドキッと鳴った。

オールバックにしてまとめた黒髪に、切れ長の鋭い目。

私は1歩後ろへと下がった後、目を伏せた。
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