接吻ーkissー
彼と出会ったーencounterー
その日の天気は、曇っていた。

今から雨か降るんじゃないかと思うくらいだった。

私の心も、同じくらいに曇っていた。

「――はあ…」

私は息を吐いた。

この憂うつな気持ちの理由が違う理由だったら、どんなにいいのだろう?

そう思った時、頭に冷たい雫が当たった。

思わず空を見あげると、
「ヤだ!」

カバンを頭に乗せて傘代わりにすると、その場から走った。

雨が降ってきた。

「天気予報ではずっと晴れるって言ってたのにー!」

私は叫んだ。

いきなり激しくなった雨足は、簡単に全身をずぶ濡れにした。
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