接吻ーkissー
「――そんなことないです…。

本当にないです…」

首を横に振って、言葉を言うのが精いっぱいだ。

「そうか?」

その問いに、コクコクと首を縦に振ってうなずいた。

私からも何か話さなきゃ。

そう思いながら、
「菊地さん、いい香りしますね…。

何て言うか、その…」

そう言った私に、
「ああ、香水をつけてるんだ。

この年齢(トシ)にもなると、どうも体臭がひどくてなあ。

臭かったか?」

そう答えた菊地さんに、私は首を横に振って答えた。

さっきから私、首振り人形みたいになってないかしら?

そう思っていたら、プッと菊池さんが吹き出した。
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