接吻ーkissー
――私を置いて行きたくない…?

「俺がもし菊地さんの立場だったら、そうなっちゃうかな」

そう言った後、シンさんは悲しそうに微笑んだ。

「――でも、やっとつかんだ夢なのに…」

そう言った私に、
「じゃあ、璃音ちゃんは菊地さんを待つことができるの?」

シンさんが聞いてきた。

「それは…」

「3日とか1週間とか、そんな容易い時間じゃないよ?

璃音ちゃんは菊地さんを何年待っていられるの?」

そう聞いてきたシンさんに、私は言葉をつまらせた。

何年って…?

「菊地さんは、海外旅行に出かける訳じゃないんだよ?」
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