接吻ーkissー
「あの…」

話しかけた私に、
「菊地さんなら、マスターと一緒に奥の方で偉い人と話してるよ。

菊地さんをスカウトしたって言う人と」

そう言ったシンさんに、私は目を伏せた。

タイミングが悪過ぎる…。

「用事があるなら、カウンターで待ってる?」

「えっ…。

シンさん、何か用があったんじゃないんですか?」

私の問いにシンさんは首を横に振ると、
「特にないよ。

ただ、空気も空気だったら外に出てタバコでも吸っていようかなって」
と、言った。

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

私はシンさんと一緒に中に入った。
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