接吻ーkissー
シン…と、耳だけじゃなく躰にも菊地さんの声が染みて行った。

夢じゃないんだよね?

「キスして、いいか?」

そう言った菊地さんに、私の心臓がドキッと鳴った。

キスって…唇に、だよね?

「――私、初めてですよ…?」

呟くように言った私に、
「初めてなら、教えてもいいけど?」

菊地さんが言った。

お、教える!?

一瞬、自分の顔に火がついたかと思った。

「ジョーダンだよ、ジョーダン」

も、もうっ…!

期待した私も私で悪いけど…。

「璃音」

視界に入ったのは、菊地さんの顔だった。
< 67 / 238 >

この作品をシェア

pagetop