接吻ーkissー
さ、30万!?

その値段に驚いた私だったけど、すぐに気づいた。

また私の頭の中を読まなかったか?

そう思っていたら、
「だから、お前は顔と雰囲気にすぐ出るって言ってるだろ」

菊地さんが言った。

「ああ、そうですか…」

私は呟くように返事をした。

しかも、前にも同じことを聞いたよ。

「親御さんには連絡しなくていいのか?」

菊地さんに言われ、携帯電話で時間の確認をした。

22時を少し過ぎたところだった。

「大丈夫です。

父親は仕事で海外に赴任していますから」

「母親は?」

「…とっくに」

その言葉の意味がわかったのか、菊地さんはそれ以上聞こうとしなかった。
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