接吻ーkissー
恋人同士の掟ーmaliceー
カチッ…

その音に目を開けると、ぼんやりとした赤い光が暗闇に1つ浮かんでいた。

「――菊地、さん…?」

呟くように、そこにいるであろう彼の名前を呼んだ。

「璃音、起きたか?」

菊地さんはすぐに隣にいて、私の顔を覗き込んだ。

「――タバコ…」

彼の指先に持っているそれを、私は指差した。

「んっ?

ああ、悪い。

嫌いだったか?」

そう言った菊地さんに、私は首を横に振って答えた。

「菊地さん、タバコを吸うんですね」

私が言うと、
「1日に1本とか、2本だけどな」

菊地さんは口にくわえた。
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