今宵は天使と輪舞曲を。
「こちらはミス・トスカ。キャロラインの友人で、ブラフマン家の客人として招いているんだ。ミス・トスカ、彼女はラフマ。父の屋敷にいた頃からずっと仕えてくれていて、今ではぼくの屋敷で働いてくれている。いうなれば第二の母親のような存在なんだ」
ラファエルはラフマがおかしなことを口走る前にどうにかしたくてひとつ咳払いをすると、まくしたてるようにメレディスとラフマのそれぞれに彼女たちを紹介した。
「こんにちは、メレディス・トスカです。えっと……なんとお呼びすれば良いでしょうか?」
「ラフマで良いですよ、お嬢様」
ラフマは大きく頷いてからメレディスと目を合わせるなり、静かにお辞儀をした。何本もある目尻の皺はしっかりと刻まれている様子から、どうやら彼女もまたメレディスを気に入ったようだ。
「よろしく、ラフマ」
メレディスは鈴の鳴るような声で彼女の名を告げると、にっこり微笑んだ。
彼女もまた、ラフマを気に入ってくれたようだ。
ラファエルにとって、ラフマは忙しい両親に成り代わり、育ててくれたといっても過言ではない。彼女は家族と同じくらい大切な女性だった。その女性を気に入って貰えたことが何より嬉しかった。
「とても気さくで綺麗なお嬢様ですね、ラファエル坊ちゃまは馬がお好きで、競走馬さえも育て上げられるだけの実力をお持ちなのです」
そこまで言うとラフマは満足そうに何度か頷き、にこやかに微笑んでみせた。