今宵は天使と輪舞曲を。

§ 03***そのグレーの目に写るのは……。




 彼女の体はどこもかしこも柔らかだ。
 ラファエルは、女性らしいふたつの膨らみも柔らかな体も自分を締めつける彼女の秘められた部分も何もかもが気に入っていた。
 メレディスと出会う前は女性に対して興味を抱かなかったことが、今にしては考えられない。

 二人でこの屋敷に戻り、ほんのひととき離れただけだったが、すぐに彼女に触れたいと思った。
 女性の部屋に忍び込むなんて紳士らしからぬ行為ではあったが、まさか彼女の口から嬉しい言葉の数々を聞けるとは思ってもいなかったからまんざらでもない。
 メレディスの気持ちを率直に聞けたことで、ラファエルは心が浮き足立っていた。

 おかげでこの部屋を訪れた当初よりもずっと増して、ラファエルの心と体は彼女を求めてしまう。とにかく彼女をさらに官能へと誘いたいという欲望が理性を打ち破っていた。

 実は彼女がいるこの部屋はそもそもがラファエルの寝室だ。おそらくキャロラインの差し金だとは見当がついている。妹の思い通りに事が進んでいるのは不服ではあるが、彼女がここに泊まってくれているおかげでラファエルが自由に行動できているのには変わりない。ほんの少しは感謝するべきだろうとは思っている。

 彼女が自分の部屋を使っていると知ったのは一昨日前、この屋敷に滞在すると決めた直後だ。だからこの部屋がどれくらい隣に響くのかや、この階のバルコニーから見た外の景色や外に出る方法は十分に熟知していた。


< 314 / 326 >

この作品をシェア

pagetop