今宵は天使と輪舞曲を。
§ 12***不穏な空気。
――ああ、まただわ。
メレディスは、ここ最近頻繁に現れる見知らぬ男性がラファエルと庭で会話している姿をよく目にしていた。そしてその会話は上手く聞き取れないが、彼らの表情はとても深刻そのものだった。
彼は間違いなく何か隠しごとをしている。けれどもそれをはっきりとメレディスに打ち明けてくれないのは彼にとって何か不利なことがあるからだろう。そしてそれはメレディスにとってけっして都合の良い話ではないようだ。
だからメレディスはラファエルに堂々と尋ねることができずにいた。
一昨日だってあんなに熱烈に愛を告げてくれた。今やふたりの関係を認めてくれるのはキャロラインだけではない。長男のグランやブラフマン伯爵、それにレニアも結婚式を挙げるのを心待ちにしてくれている。
けれども、それ故に今さら打ち明けられなくなっていたとしたらどうだろう。
もし、別れ話であったなら?
他に好きな女性ができたか、あるいは自分との関係はただの遊びだったと言われたら?
メレディスとはただの火遊びのつもりがまさか家族全員から祝福を受けるとは思いもしなかったならどうだろう。
そんなことをふつふつと考えていると余計に切り出せなくなる。
外の天気はとても気持ちよい。穏やかな陽光が朝露に濡れた美しい新緑の葉を照らし、輝く様はまるでダイヤモンドのように光輝いている。
鳥たちは優しいハーモニーを奏で囀り、新鮮な空間を作り出す。