HERETICAL KIDS
「…」

リュートは地面に落ちた地図(とは名ばかりの紙)を見つめる
手がかりはコレしか無いという事実が、今リュートの頭の中を回っている
ため息を一つ吐いて、紙を拾い上げ理解しようと食い入るように見る
どれだけ見たところで、分かるはずなど無いだろうが…

「全然わからねぇー!!!」

やはり分かるはずなど無く、再び叫ぶはめになっただけだった
せめて目印になる建物でも記入されていたならば、もう少し何とかしようと思えただろう
それすら無いこの地図は、そんな気力さえ一気に奪い去る
人にこんな地図見せたところで、一体誰が理解できるだろうか…
リュートは、額を手で押さえながら裏面を見る

「……何で家の特徴がこんなに綺麗なんだよ!!!?
どんだけ詳細に描いてんだよ!!地図にその労力使えよ!!!」

思わず破り捨てそうになるが、何とかこらえる
裏面に描かれていた家の特徴は、何処かの芸術家が描いたのでは…と思わせるような絵だった
細かな部分まで細く綺麗な線で描かれており、どんな感じの家なのかよく分かるが
家の特徴が分かっても、家までの道が分からなければ意味が無い

(はぁ…今度から確認しよ…地図…)

意気消沈…その場に座り込むリュート
誰がこんな雑な地図であるということを予測できただろう
きっと誰も予測できなかったはずだ
いくら長期任務で、人間界に長く留まることが慣れている人でも、地図を受け取ったその場で確認する人はいないだろう
リュートは、事前に地図の確認をすることを勝手に心に決め立ち上がる

(仕方ねぇ…家の特徴だけだけど…人に聞いて歩くしかねぇな…)

人に地図を見せることは、さっさと諦めて家の特徴だけで人に尋ねることを決めた
きっと、地図を見せたところで誰一人理解してはくれないだろう
むしろ、理解できる人がいるのであれば、会ってみたいと思う
肩を落としながら、リュートは人を探して歩き始めた

(裏路地だからか…?人が…いねぇ…)

まだ数十分と歩いていないのだが、全く人とすれ違わない
そろそろ一人や二人、すれ違ってもいいはずなのに
リュートは、どうしたものか…と考えながらも、歩くしかなく歩き続けた
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