HERETICAL KIDS
「お、いたいた!」

探しはじめて30分
ようやく帽子をかぶった少年を一人見つけた
それにしても、長い裏路地だ…30分歩いて、ようやく終わりが見えた
裏路地の真ん中に出たのか…はたまた、終わりに近い方とは逆の方に歩いてきてしまったか…
この長い裏路地の状況を知らないリュートが分かるはずもなかった

「おーい!そこの人―!!」

リュートは大声で、少年を呼び止める
少年は、リュートの声でキョロキョロ周りを見回した
どうやら、他に人がいないことを確認しているようだ
リュートの声が、自分に向けられたものだと理解すると、リュートの方を向いた
髪は黒く、瞳は茶色い少年だった
背丈は、リュートよりも少し小さい

「俺ん事か?」

少年は自分自身を指さしてリュートに尋ねた
人通りが無いので、今のところ2人以外に誰もいない

「お前以外に誰がいるんだよ…」

リュートは当然のことのように、そう言い返した
普通、見知らぬ人に声をかけられて自分だ…と思う人はそういないと思うが…
それはさて置き、目の前の少年は少し考えてから、リュートを指さした

「自分がいてるやんか」

リュートは思わぬ返答に、少し固まった
こんな返答、予想していなかったリュートは返答に困る
リュートも普通ではない事を言ったが、少年も同じくらい普通ではないようだ

「(ココは関西か?)って、何でオレまで数に入るんだよ?オレが聞いてるのに」

自分が日本のどの辺りにいるのか考えながら、少年にそう言い返した
少年は何が楽しいのか、ニコニコ笑っている
笑いながら、リュートの側までやってくると口を開いた

「アハハハ、冗談やって♪気にせんときぃ~
それより、俺に何や用あるんとちゃうの?」

少年に言われて、リュートはハッと思い出した
何のために声をかけたのか、忘れていたとは…世話のかかる
リュートは地図とも言えない地図を差し出す
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