恋愛不向きの彼の愛し方
「ちゃんと断ってますよ、今は。以前は、『あなたが契約してくれたらノルマ達成出来るのでお願いします』なんて言われて契約しちゃったけど、」
「それって、騙されてるよ」


話の途中で哲也さんは呆れ顔で、どうしょうもない奴だと言わんばかりに溜め息をついた。


「でもね、怜香のそういう騙されやすいところをちゃんと指摘して、尚且つ優しいところを認めたうえで、『解約するのではなくて経済新聞にすると就活にも役立つ』って陸哉さんが言って変更させて。そんな陸哉さんが怜香を裏切るようなことしないから。だから、怜香に余計なこと言わないで!怜香を不安にさせないで!私の大事な友達なんだから!」


わかった?と海斗さんの腕をそれはもう見ているこちらが痛いと思うくらいに何度も叩いていた杏里を海斗さんは気にもしてないのかひたすら飲んでいた。


「あっ、それ私の!」


海斗さんが手にしていたグラスは、私の飲みかけ。海斗さんが、イッキ飲みしたグラスは隣で鎮座していて、いわゆる間接キスした状態で……。
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