墜ちた羽根
そんな会話が聞こえたような気がしたけれど、今は気にはならなかった。

「そうだ。あの時なんて俺に願おうとしたか聞かせてもらおうか」
「何の事?」
「惚けるな、この馬鹿」
「本当に覚えてないから」

そっか、とオウヤ君は少し残念がっていた。
本当は覚えている。ずっと傍にいて欲しいと願っていた。
でももう叶ったから言う必要もない。

「涼那」

そう呼ばれたと思いきや、突然キスをされた。

「好きになってくれて有難う。」

思いっきりオウヤ君が笑った。
私の人間じゃない彼との秘密の恋と、
結婚までのカウントダウンが始まった。
もう私はこの人しか好きにならない。そう決めた。
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