墜ちた羽根
その瞬間、彼がふらついた。
安静にしていなければ駄目なのに沢山動いたからなのだろう。

「大丈夫?」
「疲れた。帰るぞ」
「何処に?」
「決まっている、お前の家だろ?」

それは未だに少し不機嫌そうな声。
居候させているのはこっちなのにな、
と思いつつもオウヤ君を支えながらゆっくりと進み出した。

家に帰れば、オウヤ君はその場でバタリと倒れた。
正しくは眠ってしまったと言うべきか。
やっぱり怪我の所為なんだろう。
1人で持ち上げるのが大変だったから、おばあちゃんにも手伝ってもらった。
なんとかしてベッドに入れた。運んでいたから気付かなかったけど、
彼は安心したような表情を浮かべているように見えた。
寝顔はこんなに優しそうなのに、どうしてあんなに口も性格も悪いのだろう?
不思議でたまらなかった。
眠る桜也君を見ながらさっきの出来事を思い出していた。
あの男の子と女の子は、私を狙っていたのにはとても驚いた。
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