墜ちた羽根
狙ってくる人は大人だと言う先入観があった所為だろうか?
でもオウヤ君はジジイババアと言っていた。
どう見てもそんなに歳がいっているとは本当に思えなかった。
次に思い出したのは“ブラッドウィング”。
日本語にして“血”に“羽根”。また羽根だ。
オウヤ君の事らしいけれど、どうしてちゃんとした名前があるのに
“ブラッドウィング”と呼ぶのだろうか?

私はまだオウヤ君の事を何も知らない。
だから一緒にいる時間は少ないけれど、もっと彼の事を知りたかった。
知らないまま話が進むなんて、気持ちが悪い。
私は巻きこまれた人間。知る権利はある筈だ。

「オウヤ君、あなたの事をもっと教えて…?」

眠っているから返事は返って来なかった。長い静寂が続いた。
幸いなのか、阻止をしようとする人間はあれからまだ現れていない。
まだ油断は出来ない。相手はこの場所を知っているようだから。

「早く明後日が終われば良いのに」
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