墜ちた羽根
「あらあら、もう少しかかるからまだ良いのに…」
「だったら私手伝うよ」
「オウヤ君を放っておくつもりかい?」

まだご飯が出来ていない事を告げたおばあちゃん。
私が手伝おうと名乗り出たけれど、
“オウヤ君がその間に退屈してしまうよ”と言われてしまった。
オウヤ君の事は今どうでも良かった。
でも、おばあちゃんはオウヤ君を心配していた。
仕方ないから私は彼の相手をする事にした。
よく考えればこんな機会は滅多にない。

「オウヤ君、話したい事があるの。部屋に戻らない?」

居間でぼんやりとしている彼に話し掛けた。
別に此処でも良いだろ、と言われてしまった。
だけど近くにはおばあちゃんがいる。
この話は出来れば2人きりで誰にも聞かれない場所でしたかった。
どうしても、と強く言うと面倒くさそうに彼は部屋へと戻り始めた。
その後を追っていく私。さあ聞こう、と思うと心臓が物凄く高鳴った。
< 49 / 117 >

この作品をシェア

pagetop