墜ちた羽根
どんなに慎重に丁寧にやっても結局は悲鳴が聞こえてくる。
傷が本当に酷いから、どれほど痛いのかは何となく分かる。
痛みを堪えるオウヤ君を見ていて辛い。
もしこの時間が夕食の時間でなければ、
おばあちゃんにやってもらいたかった。

包帯を巻いている時も、絞め付け方がどれくらいが
丁度良いのか分からず、更に悲鳴が聞こえた。
申し訳ないと思いつつも、自己流で巻いていった。
何とか終えた時、オウヤ君の表情が妙に穏やかに見えたのは
気のせいだったのだろうか。

「お前に頼んだ俺がバカだった」
「今更後悔しないでよ」

相変わらず包帯姿は痛々しかった。
何とかならないものなのだろうか?その上からシャツを着たオウヤ君は、
“そろそろご飯だろうから行くぞ”と一言言うとその場を後にした。
まるで長い間此処に住んでいるぞ、みたいな言い方だった。
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