墜ちた羽根
「あいつらはジジイとババアで充分。見た目は幼くてもな」
「だからそれは何故なの?」
「……若作りしてるって事」

少し間が開いて、返って来た言葉がこれ。
あの外見で若作りはないでしょう?

「嘘は良いからちゃんとした答えを教えて」

そうやって、何度聞いても若作りとしか答えなかった。
恐らくずっとこんなやりとりをしても教えてくれないと思い、諦めた。
散歩を許可してもらった時みたいに、
そんなに答えを強く望んでいる訳でもなかったから。

「涼那こそ」
「ん?」
「怪我」
「オウヤ君に比べたら大した事はないよ?」

手の甲の絆創膏を見たオウヤ君が聞いてきた。
心配されるような傷ではない。
だって紙で指を切ってしまったかのような傷だったから。
そんなに深いものでもないし時間が経てば消える。
……じゃあ、オウヤ君の傷は?
< 58 / 117 >

この作品をシェア

pagetop