大江戸妖怪物語


―――――

「美藤様。食事の準備ができました」

しばらくした後、侍女がやってきて言った。

「では、宴にしようではないか。食事をここに持って参れ」

美藤さんが手をパンパンと叩いた。すると侍女たちが一斉に机を持ってきて食事を運んできた。あっという間に豪華な食事が目の前に出された。

「わー!!うっまそーーー!!!!」

色とりどりの料理が目の前にひろがる。人生の中でここまで贅沢な食事があっただろうか・・・?!

「では、食べるがよい」

僕は箸を手に取り、まず目の前にある・・・なんか贅沢そうな食べ物を口に運んだ。

(うーん!!うまい~!!料理名はわからんけど、とにかくうま~い!!)

雪華も僕と同じ料理を口に運ぶ。

「ほう、蝉とタガメの餡掛けとは。香ばしいな」

「ブゥゥゥゥ―――――――!!!!」

あまりに衝撃的すぎる料理名に僕は吹き出した。

(せ、せ、蝉とタガメの餡掛けってーーーーー?!?!)

確かに今思えば、トロリとした餡の中に蝉の羽の食感があったようななかったようなあったようななかったような・・・。

「噂には聞いていたが、ここまで美味とは。餡の中の蝉のカリカリ感。いやいや、絶品」

(なんで雪華普通に食えてんの?ねえなんでなの?)

「神門、もう食わないのか?蝉とタガメの餡掛け」

「全部あげます」

しかし、他の料理は虫が使われていないようなので、ほかの料理を食べることにした。

「神門様、雪華様。季節の野菜のお浸しになります」

色んな料理を食べていると、侍女の一人が僕と雪華の前にひとつの料理を出してきた。それは赤や緑、様々な色をしているが、料理的にシンプルだった。うん、シンプル。

「なんかさっぱりしてて美味しそうな料理だなー!しかも、上に乗ってるのはなにこれ?キノコ?」

「ベニナギナタタケにございます」

しかし、雪華はその料理をじっと見つめていた。

「キノコは元気な~なんとか~なんちゃら」

謎の歌を歌いつつ、僕はその料理に箸を伸ばした。

「待て」

そのキノコを口に運ぼうとする僕を雪華が止める。

「・・・どうかした?」

「この料理を作ったのは・・・お前か?」

雪華は侍女をキッと睨んだ。侍女は狼狽えている。

「は、はい。私が作りましたが・・・」

侍女が口ごもりながら答えた。

「それが一体・・・・・・・ッッ?!」

一瞬だった。雪華は抜刀し、その侍女の首ギリギリに刃を翳す。
雪華は鋭い睨みを効かせながら侍女を見ている。

「ひ、ヒィッ・・・!!」

侍女の顔は青ざめ、震えている。

「ど、どうしたの?!てか、何やってんの雪華ァァ?!」

「どういうつもりだ」

雪華は冷たく呟いた。しかし、真っ直ぐ伸びた刀の先は侍女から離れない。

「ど、どういうつもりと言われましても・・・」

「・・・私たちを殺す気か?」

その様子を美藤さんは動じることもなく静かに見ていた。

「どういうことなの?!雪華?!」

僕は雪華に問いかけた。




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