大江戸妖怪物語
「雪華、ちょっと待って。何かが僕の後ろに落ちた」
「はあ?落ちただと?」
「うん、ちょっと見てみるね」
僕は音のしたほうに目を向けた。
「・・・・・ヒッ・・・!!!」
その落ちて来たものを見た瞬間、僕の顔面は色味を失った。
それと同時に、けたたましい羽音が響き渡る。
そして目の前に何千、いや、何万という蜂の群れが視界いっぱいに広がった。
「うぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「何をしている!逃げるぞ、神門!!!」
腰が竦んでしまった僕の腕を引っ張り逃げる雪華。しかし数えきれないくらいの蜂がすぐ後を追ってくる。ようやく自分の力で走れるようになった僕は俊足を使い、蜂から逃れようと走った。
「あ、あの蜂はッ?!?!」
「見る限り、オオスズメバチだな。あんなのに大量に刺されたら命はないな」
「冷静に分析してる場合じゃないから!とにかく逃げないと!!・・・って!」
僕と雪華は立ち止った。そう、目の前にある巨大な岩壁・・・。おそらくさすがにこれは登れない。
「・・・真っ向勝負ということか」
雪華は指を鳴らす。
雪華は氷刀を抜き、蜂のほうを向いた。
僕も慌てて太刀を抜く。
そして蜂の軍勢は黒い壁の如く迫ってきた。
「残滅氷刃!!」
氷刀から放たれた氷を纏う鎌鼬は真っ直ぐ蜂の軍勢と激突した。しかし、それですべて死ぬほど、蜂の軍勢は少なくない。
「雪月花!」
雪華は息を吐き、その氷の礫で蜂を攻撃する。
「おらァ!受けてみろ!」
僕は手に炎を出し、その炎を巨大化させ、蜂に向かって放った。蜂が焼け死ぬ匂いがあたりに充満する。
炎刀に炎を纏わせ、蜂に挑みかかった。しかし、一向に減る気配もない。
その時だった。
「神門、危ない!後ろ!」
雪華のその声を聞き、僕は慌てて振り返る。すると巨大な黒い影が目の前にいた。僕はなんとか身を捩ってその攻撃をよける。
「な、なんだ?」
その黒い影の風圧で僕の体は1メートルほど吹っ飛んだ。
顔をあげ、僕の視界に入ったのは、全長3メートルはあるだろう、巨大な蜂だった。
毒針だけでも人間を刺し殺せそうな大きさである。
「ななななな、なんだこいつ!!!気持ち悪ッ!!」
その化けオオスズメバチは、ブーンという地響きのような羽音を震わせながら僕と雪華に向かって突進してきた。当たったら一溜りもないだろう。
「くそッ!!なんだってんだ、この化け物は!」
「どうやら、こいつを倒さなくてはならないようね」
雪華は臨戦態勢に入る。僕も攻撃態勢を取る。そして再度突進してくる巨大蜂の攻撃をよける。
すると巨大蜂は毒針から何かを噴射した。僕はそれをすんでのところで回避した。その青緑色の粘性のある液体から蒸気が漏れ、そこにあった花は無残にも溶けてしまった。
僕はそれを見て唖然とした。
しかし、呆気にとられている暇もない。再度毒液を噴射した。僕はそれをよける。三度目は雪華のほうに噴射された。