大江戸妖怪物語
雪華はその攻撃を避けつつ、攻撃を繰り出す。
「紅蓮焔火!」
僕も攻撃の合間を縫って技を繰り出す。しかし、巨大蜂の攻撃の他にも、大量のオオスズメバチが僕らを襲ってくる。とにかく、まわりを飛び回るオオスズメバチの軍勢だけでもなんとかしたい。
「神門、私が巨大蜂を引き付ける!お前はその蜂どもをなんとかしてくれ!」
「了解!」
すると雪華は巨大蜂の気を自分へ引くように、右へ左へと動き回った。巨大蜂も雪華に狙いを定めたらしく、僕から離れていく。
「しかし・・・埒があかないって!」
十匹殺してもすぐに百匹が雪崩のように襲ってくる。
「こんのッ!」
僕は炎の玉を蜂に投げた。
その時だった。
一匹の蜂が僕の着物の袖の裾に入った。
「え?」
その瞬間、目の前に火花が散ったようになり、そして暗闇に包まれた。すぐにその暗闇からは逃れられたものの、目の前バチバチと光っている。
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
僕が蜂に刺されたと認識するまでに、少しの時間を要した。
そして眩暈がしてきた。毒が回ってきたのか・・・。
「うぐぐ・・・」
その時だった。体の中から熱いなにかが目覚めた気がした。その瞬間、両手からおびただしい量の炎があふれ出た。
「え?」
それまで出たことのないくらいの量の炎だった。いったい、自分の身に何が起こっているのか。炎は僕の肩まで包み込む。そのまま、僕の足は蜂の大群へと向かっていった。
そして僕は胸の前で腕を交差させた。
「・・・紅蓮豪竜巻!!」
巨大な炎の渦が蜂を襲う。轟音と共に、焦げ臭い匂いがあたりに充満する。炎が消えると、オオスズメバチの軍勢は一匹残らず焼け焦げ、死んでいた。
「神門、この蜂を頼む!」
そうだ、雪華はまだ引き付けてくれている。僕は慌てて雪華の援護に回った。
「しかし、燃やしても燃やしきれないよ。こんなでかい奴」
巨大蜂は弱るどころか、より戦闘力が上がっている気がする。
「弱点・・・弱点さえわかれば・・・」
考えている間にも、巨大蜂は攻撃の手を緩めない。次から次へと攻撃を繰り出してくる。またしても地響きのような羽音を鳴らしながら接近してくる。
(くそッ・・・弱点は・・・弱点はどこだ?巨大といっても蜂は蜂。炎には弱いはず・・・しかし炎の攻撃で致命傷を与えられる自信はない・・・。羽さえなかったらな・・・。ん?羽・・・・・・・。そうか、羽だ!!)
「雪華!」
「なんだ?!」
「あいつの羽を!羽を凍らせてくれ!!」
「羽を・・・か。よし、やってみる」
雪華は巨大蜂の正面にたち、ふぅーっと優しく息を吐いた。
「雪月花!!!」
見る見るうちに羽が白くなっていく。凍っている証だ。そして羽が銀光りするほどになってから、僕は蜂の背後に回った。