大江戸妖怪物語
「はぁぁ~~~~やっと、元の道に戻ってこれたみたいだね」
「まったく、やれやれだ。そういえば神門、お前蜂に刺されていなかったか?」
「あーうん、ちょっと痛いかな・・・」
実はちょっとどころじゃなく、尋常じゃないほどの激痛である。まるで塩酸を塗りたくられたかのような刺激。
「見せてみろ」
雪華に裾を捲りあげられる。見ると、右腕の二の腕にポツリと赤い晴れが一つ。
「針が刺さってる」
みると、腫れたところに、銀色の糸のようなものがある。
「毒を絞り出さなくてはな・・・」
「えー・・・絞り出すってどうやって・・・って痛い!!!!!」
思い切り僕の二の腕をつねる雪華。
「黙ってろ。毒を出してるんだから」
「そ、それならさ・・・、僕、前に漫画で読んだんだけど、そういうときは毒を口で吸いだすとかぁ~」
「よしわかった。お前を殺そう」
「す、すみません!じょ、冗談です!!」
明らかに殺気立った雪華にを恐れ、僕は土下座した。
「ったく・・・馬鹿なこと言ってないで、先に進むぞ」
僕と雪華はまた歩き出した。
「もう正午か・・・。飯にでもするか」
「うー・・・まだお昼か・・・」
ちょうどそのとき、渓流に出た。
「わっ、雪華。あの石見てよ!!」
「石・・・?」
僕が指差した先には二つの石があった。
二つの石は落ちそうになりつつも、絶妙なバランス感覚で立っていた。
「すっげー巨石・・・」
「夫婦石・・・と書いてあるな」
雪華は石の下に書かれている碑を見た。
「ちょうどいい。ここで食うか」
雪華は石に飛び乗った。しかし石はびくともせず、そこにあった。
「いやー、うまいうまい。石の上で涼むのもよいわ」
雪華と僕は、源一さんからもらったお結びをそこで食べた。