大江戸妖怪物語
ご飯を食べ終え、また道を進んでいく。
「あともう少しいった所が山姥が住んでいるところらしいぞ」
「はぁ、もうすぐご対面か・・・」
また道なき道を進んでいく。
「これは刀で切れるか・・・。神門、ちょっと燃やしてもらってもよいか?」
目の前には茂りに繁った葛の蔦があった。非常に茎が太く、おそらくこれを斬ったら刃こぼれしてしまう。
「よしッ!燃やすか!」
僕は右手に力を込めて炎を出した。葛を燃やしながら道を進む。
その時だった。
ガラガラガラッ!!!!
「うわあっ!!!!」
「神門?!」
僕の足元が崩れた。
・・・・・・
「クッ・・・!!!」
僕の足元には何もなかった。しかし唯一あるものといえば空気。雪華が歯を食いしばり僕の左手を掴んでいた。
「うわっ・・・やばいやばい!!」
「あまりジタバタするなッ・・・しかし、重いッ・・・!!!」
さすがの雪華でもキツイ体勢で、しかも片腕で男一人の体重を支えているのだから辛いのも当然だ。
「地図だと・・・この道は崖じゃなかったはずなのに・・・ッ」
「あまり・・・しゃべるなッ・・・。待ってろ、今、引き上げる・・・!!」
雪華の怪力のかいもあってか、僕の体は少しずつ上に上がって行った。
「あともう少しだ・・・耐えろ、神門・・・ッ。・・・えッ?」
その瞬間、僕の体は落下を始めた。ふわっとする感覚、僕の右手は一瞬だけ崖の壁面の土を掠めたが、そんなことは無駄に等しかった。
雪華と共に、何十メートルも下の地面に一直線に向かっていく。
「このままじゃ落ちてしまうな・・・ッ」
雪華は苦い顔を浮かべている。
(どうしたら、こういう時どうしたら・・・)
地面には樹木が密集している。その時僕は閃いた。
「雪華!」
僕は落下している雪華を抱き寄せ、お姫様抱っこの形にした。
「み、神門・・・?」
「くらえッ!!」
僕は片手で巨大な火の玉を作り、それを地面に投げつけた。その瞬間直径十メートルほどだが、木々が燃え、そして一瞬にして鎮火した。その灰と化し、ふかふかになった木々の上に僕は雪華を持ったまま仁王立ちの状態で着地した。
「うぐうううううううッッ・・・・!!!!」
足から来るすさまじい衝撃に僕は耐えた。そして雪華を灰の上に下した。
「な、なんとか生き延びれたな・・・」
「そうね・・・」
ハァハァと息を荒げる二人。
「でも、神門」
「なに?」
「ありがとうな。お前の咄嗟の判断で怪我をしなくて済んだ」
「え、ああ、いや・・・。どういたしまして」
あまり雪華からお礼を言われたことがなかったのでちょっとたじろいだ。