大江戸妖怪物語
「しょうがない。ここで一晩明かすか」
「近くに食べ物ってないかな?なんなら、山菜とかあればなんか作れるかもしれないけど・・・」
「食糧でも探すか・・・」
僕と雪華は家を出て、近くの草むらを探した。
「あまり見つからないなー・・・」
ガサガサとあたりの草むらをかき分ける。夕方というのに熱中症になりそうな蒸し暑さのせいで草が体にまとわりつく。
その時だった。
ヒュンと僕の目の前に何かが突き刺さった。それは、するどく尖って、凶器と化した木の枝だった。
「え?」
僕が上を向くと、そこにはフードを深くかぶった人間がいた。
その人間は、僕めがけて飛びかかってきた。僕は慌ててその攻撃を避ける。フードを被った謎の人物は両手に鋭利な鉈を持っていた。
「な、鉈ッ?!?!」
僕がたじろいでいると、その謎の人物は僕めがけて鉈を振り下ろしてきた。
「くッ・・・!!」
僕は慌てて後ろへ飛んだ。鉈は地面近くにあった草木を刈り取った。
その瞬間、フードから淡い桃色の髪の毛がチラリと出た。その髪の毛は腰につきそうなほど長かった。
「女ッ・・・?!」
その女は攻撃をやめない。女は左手の鉈を僕めがけて投げた。
僕はその鉈を避けた。しかし、その鉈は近くの気に刺さった。女は素早い動きで鉈を引き抜くと、僕への攻撃を続けた。
「どうした!!」
物音を雪華が聞き、駆け付けた。そして女を見た瞬間、雪華の顔つきが変わった。雪華は氷刀を抜いた。臨戦態勢だ。
「・・・またアタシを殺しにきたのか。人間め・・・」
ポツリと女が呟いた。
一言そう言い残すとフードの女は山の中へと消えて行った。
「おい、待て!」
しかし、その声はフードの女に届くことはなかった。
「あの女は・・・」
「断定はできぬが・・・山姥だ」
「や、山姥ッッ!!!」
僕は逢いたくなかった山姥に会い、しかも襲われてしまったことに恐怖を覚えた。しかし、思った以上に老けていなかった気がする。
「でも、山姥にしてみては若かった気がするけど・・・」
「まあ、山姥といわれているが、見た目が若い者も結構いるぞ。雪女でも私のように見た目が若い者から老婆までいるからな。・・・ところで、大量の山菜を採ってきたぞ」
「うわッ・・・すげえ量・・・」
僕は雪華がとってきた山菜をまじまじと見つめる。
「ってか、こんなに山菜とらないで、僕のことを助けに来てくれてもよかったじゃないか!!」
「いやだって、今日の晩飯のほうが重要だろ?」
「僕の生命は晩飯以下か!!」
僕はしぶしぶ、山菜を土間に運んだ。