大江戸妖怪物語

「あいつら何者?マジ意味不明!!そもそもいきなり襲ってくるとかありえないんですけど」

黄梅は苛立った様子だ。

「あ・・・あ・・・」

木南は顔を青くさせ、震えていた。

「あいつら、木南のことを捕えようとしているのよ。ったく、なんで木南を捕まえたがるのかしら・・・」

雪華は溜息を吐きながら木南に近づく。

「ほんとうに思い当たることはない?あそこまで執着するのは、よほどのことがあると思うのだけど」

「・・・やっぱり、その石じゃないかな」

僕が唯一思い当たるのがその石だった。

「彼らは盗賊団じゃないかな。その宝石が高価だから狙ってるんじゃ・・・」

「この石はとても大切だから・・・。渡せないです・・・」

「あなた、妖怪と関わってきた家柄って言ってたわよね。それとその石って、関わりがあるんじゃないの?」

木南の眉がピクリと動く。そうやら当たったらしい。

「木南・・・、もしかしてその話って、マジだったわけ?アタシ信じてなかったけど・・・」

「う、梅・・・ちゃん・・・」

泣きそうな顔で木南は黄梅を見上げた。黄梅は気まずそうな顔をして顔を背けた。
雪華は言葉を続ける。

「話してくれないかしら。あなたは何者なの?」

雪華はジッと木南を見つめた。木南は目を泳がせている。

「私・・・私は・・・・・・」

木南の声は震えていた。とてもか細く、消えてしまいそうな声・・・。

「私は・・・・・・い・・・」

「え?」

木南は何かを言おうとしたが、その瞬間、木南の体はドサリと地面に倒れた。
勝常さんが木南の額に手を当てる。

「とんでもない熱じゃ。お堂まで運ぶぞ」

意識を失ってるらしい木南の体はとても熱かった。発作の影響なのか。
お堂まで運び、布団を敷き、その上に寝させた。

「どうやら、彼女が回復するまでは色々聞けそうもないな」

死んだように眠る木南の顔には脂汗が滲んでいた。

「ワシが看病していよう。黄梅、お前は裏の山で薬草を摘んできてくれるか」

「おっけー!すぐ行ってくる!」

黄梅は寺を飛び出した。

「私たちは、もう少しこの村について調査しよう」

僕と雪華は寺を出て、村の中心部へと向かった。

< 248 / 328 >

この作品をシェア

pagetop