大江戸妖怪物語
『月桂樹』と巨大看板に書かれた文字。その建物は他の建物に比べると一段と鮮やかで、かつ絶対的な存在感を感じた。
雪華「ここが月桂樹か」
雪華はスタスタと中に入ろうとする。
神門「待て待て待て!早すぎるだろ、心の準備がぁ!!」
中に入ろうとする雪華を必死に止めようとする僕。すると後ろから声をかけられた。
??「おやおや、アンタたち痴話喧嘩かい?」
振り返ってみるととんでもない美形の男が立っていた。
??「そこで揉められると他のお客さんが入れないんだけど・・・なんか用かい?」
その男は腕組みをしながら僕と雪華を交互に見つめた。雪華は、先ほどのティッシュを取り出してその男の前で見せた。
雪華「スタッフ募集の広告を見たのだが・・・もしよろしければ、ここで働きたいとおもってな」
??「あ~・・・そーゆーことネ・・・・。ついておいで」
男は月桂樹の暖簾を潜り、僕らもそれについていく。店内は、少し強めのお酒の匂いと、若干の香水の匂いが充満していた。水晶のような装飾がキラキラと輝いている。
男「おかえりなさいませ、琉堂さま」
正装をした男から、僕らを誘導している美形はそう呼ばれた。
琉堂「あぁ・・・。オーナーはいるか?・・・どうもここで働きたいやつがいるので会わせてくる」
男「それでしたら、オーナー室にいらっしゃいます」
琉堂「そうか」
琉堂という男は客のいる部屋を抜け、バックのようなところに入った。そして大きな扉をノックして、中に入って行った。
雪華「内装も立派だな・・・儲かってるのう・・・」
神門「そういうところ見るタイプなんだ・・・」
しばらくして、琉堂が出てきた。
琉堂「少し待っていろ」
そういって僕と雪華はバックに立っていた。