大江戸妖怪物語
夕方五時。少し客足が増えてきた時間だった。
琉堂「それでは・・・実際に接客してみろ」
・・・・え?挨拶の練習もないんですか?
まさかのいきなり接客ということで僕の背筋がサーッと寒くなった。雪華もキッチンのシフトをいきなりやるということだった。
神門「ところで、何その髪型・・・・」
僕は雪華の髪型に注目した。前髪は七三に分かれていて、ワックスでいい感じの髪型にまとめられていた。なんで?イケメン度が増してる。
雪華「さきほど、お前の同室の男に『そんな可愛い髪型じゃ、女ってバレちゃう!ほら、ワックス使って!!』と言われてな」
神門「絃か」
僕にはワックス貸してくれないのにー、なんて心の愚痴が漏れそうになる。
そして雪華はキッチンの方へ行き、僕はフロアに向かった。
琉堂「こいつのフォローを頼む」
男「了解でっす」
チャラそうな男は僕の顔を覗き込んだ。
聡「あっるぇー?今朝、絃と一緒に大遅刻したコじゃーん?オレは聡~。ンま、迷惑にならないようにしててくれればそれでいいから~」
神門「紅・・・です。よろしくお願いします」
僕の挨拶には答えず、聡さんは髪を鏡で見ながら弄る。そしてほどなくして聡に指名が入り、僕は聡と一緒に客の元へ向かった。
聡「ご指名ありがとうねー♪あ、美優ちゃんじゃーん!なに、おとといも来てくれたのに、まーたオレに会いたくなっちゃったん?」
美優と呼ばれた女・・・は、正直言って、ちゃん付けしていいレベルの年齢なのか・・・。
美優「聡-!会いたかったぁぁん」
美優・・・・さんは、パッと見、35はいってそう・・・な、おねえ・・・・・・さま・・・・・・で、いいんだよな・・・・・・・???
聡「そんでー、こいつが今日から入った新人。一緒に居てやってもおっけぇー?」
美優「聡が言うならいいよー♪」
ほら、挨拶白しろ、と聡に耳打ちされ、慌てて僕は頭を下げた。
神門「こ、こんにちは!紅です!よろしくお願いします!!」
聡「おら、さっさと酒注げ」
神門「は、はい!」
僕は慌てて近くにある酒の入った瓶を取った。瓶の蓋についている栓を栓抜きで外そうとするが・・・・