大江戸妖怪物語


なんとか月桂樹についた。前に飛び降り、月桂樹の扉を開ける。・・・よし、誰もいない。今のうちに・・・

??「どこへ行っていた」

真後ろから聞こえてきた声。その冷静かつ落ち着いた声というのは僕の背筋を凍らせるには十分だった。

No,3・・・・・・琉堂。

琉堂「・・・どこに行っていたと聞いている」

その声は冷たく僕はゆっくりと振り返る。琉堂の表情はいつもと同じ無表情のようだが、その顔はあきらかに僕の行動に疑念をもった顔だった。

神門「すみません・・・・ちょっと実家に戻っていて・・・・」

僕はしどろもどろになりながら話す。明らかに目が泳いでいることが琉堂にもわかるだろう。

琉堂「・・・お前・・・いつ月桂樹を出た?・・・夜中に月桂樹から出た奴はいないはずだ」

神門「・・・っ」

なんて返せばいい?どちらにせよ袋の鼠。

琉堂「・・・・・・お前はこれから勝手に行動するな。この月桂樹から出ることを禁ずる」

神門「え、あ・・・あの・・・・・・」

琉堂「わかったな・・・刃派の紅蓮神門?」

琉堂の、その何もかもを見抜いてしまうような目に、僕は何も言い返せなかった。
そのあと、琉堂は再度僕をジロリと睨みつける。でも、その目のどこかに哀しい色が見えたのは僕の気のせいか。

琉堂「・・・・・・さて、今日も朝礼があるらしい。二日続いてご苦労なことだ。さっさと行け。もう始まってると思うが」

僕は慌てて朝礼が開かれている場所へ向かう。そこには絃もいて、こっちこっちと手招きしてきた。

絃「・・・どこ行ってたんだよ・・・!?朝起きたらいなくて焦ったぞッ!?」

どうやら絃は目覚めた時、僕がいないことに驚いたらしい。そのあと月桂樹の中を探し回ったとか。その際、琉堂に会って僕がいないことを言ったらしい。

内心、余計なことをしやがって・・・と思ったが、たしかに朝起きて同居人がいなかったら驚くだろう。絃には悪いことをした。

絃「焦って探しまくってたら酒瓶を何本か割っちゃったよ~!昨日はちょっと売り上げたんだけど、それでパァになっちゃった。売り下げってやつかなぁ?」

サラリと酒瓶を割ったことをカミングアウトされた。

桂木「はいはい~。無駄話はそこまでね~・・・。まあ、今回の朝礼で言いたかったことは・・・月桂樹の秘密は誰にも漏らさないコト♪企業秘密ってやつね?」

・・・桂木はおそらく僕のことを言っているのであろう。手汗が滲みる。

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