愛してる?...たぶん。
「セーンセ?」



「………」



「あっれー?もえちん、もしかしなくても、ご機嫌ナナメ?」



「……別に」



「ふーん」



いつものドリブル音は何処へ。委員会で遅れているらしい浅野対策として、体育館の扉に鍵をかけるべく全速力で駆け回る和久井と男バス数人のシューズ音だけが響く体育館。



体育座りのまま口元をヒクつかせた僕は、ズイッと顔を覗き込んでくる彼女と相変わらずいやらしい笑みを浮かべる神谷に挟まれ、おまけに何を期待しているのか、キラキラと目を輝かせるジャージ姿の生徒達をぐるりと見回しながら、はぁー…と大きな溜め息をついた。

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