ビッグマンズ
 最初は実家がある、大阪の某有名ホテルで1年半、宴会調理のキッチンでアルバイトをしていた。
 もちろん大学をでたばかりで、常識のかけらもなく、調理の世界のことなど、なにも知らない私は、当然最初は雑用ばかりだった。

 鍋を洗ったり、離れた冷蔵庫やキッチンにものを取りに行ったりする。
 

 それでも私には、とてつもないカルチャーショックだった。大学というモラトリアム期間を4年も経て、ほとんど私は腐りかけていた。



 私は、大学に入ってからというもの、何かに本気で打ち込んだことや、向き合ったことがなく、毎晩飲み歩いて遊んでばかりいた。
 勉強も適当にしかやらず、そのくせ、自分はいい大学の学生であるというプライドだけは高い、バカ学生の典型だった。
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