ビッグマンズ
 「何かあったんですか?」 「私、殴られたのよ。生意気なんだって。」


 訊かずとも、それが高田だということはわかった。高田は義理人情に厚くいい人だが、キレると手がつけられない。


「もうちょっとだからがんばりましょう!終わったら渋谷に映画観に行きましょうね!」


「わかった。いやだけど戻るわ」阿部はそう言って、シェフ・パンチのキッチンへ戻っていった。


 私と阿部はいつも、つらい時は励ましあう仲だ。


 私がここに来たばっかりで、キツくしごかれていた時なんか、彼は本当によく支えてくれた。
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