ビッグマンズ

こちらも冒頭で紹介済みの中堅社員の草野。彼もまた、調理技術や知識には優れているのだが、オペレーション等の段取りが悪く、チーフや高田にしょっちゅうぶっ飛ばされている。





 草野と同期の阿部。私は、二丁目のゲイバーなどの場所以外の実社会で、カミングアウトしながら堂々と生きているゲイの人と出会ったのは、彼が初めてだった。
 もし、一言もしゃべらず、微動だにしなければ、彼も普通の青年に見えるのだろうが、人間なかなかそうもいかない。
 彼の仕草や言動、何もかもが、そこら辺の女よりよっぽど女らしい。





 芸術家肌の村本。数々のコンクールで入賞するなど、抜群のセンスとアイデアに富んだ男。
彼の盛り付けは、難しい理屈抜きに本当にきれいで、私もよく参考にしていた。
 しかし、通常業務には興味がないらしく、仕込みを全くやらない。
 彼の入った次の日に同じポジションに入ると、いろんな食材が腐っていたり、無かったりでエラい目に遭うのだ。




 

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