先輩とあたしと苺オレと(仮)

少し茶色っぽい髪。
くるっとした睫毛に、二重の焦げ茶色の目。
すっと筋の通った鼻。
薄いピンク色の唇。

ふんわりとした空気が先輩を纏っている。

先輩、かっこよすぎです。
こんな優しくてかっこいい人なんて、あたし先輩しか知らないです。

「…ありがとうございます」

「どういたしまして」

苺オレをあたしの手にのせる先輩はやっぱりふんわり笑っていた。

「じゃあ、行くね」

そう言って背中を向けて歩きだした先輩。

引き止めてしまいたいけど、そんなことできないよ。


「莉央、いたっ!」

先輩の背中を見つめていたあたしはハッとした。

くるっとふりかえると奈津子がいた。

「莉央、遅いから心配したんだよ」

ごめん、奈津子。
奈津子のこと少しだけ、忘れてたよ。

「ごめん」

いろんな意味をこめて謝る。
< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop