空耳此方-ソラミミコナタ-
男性はふと真顔になった。

そして――恐らく一番聞きたくないであろうその言葉を、優しさに配慮することなく、言いはなった。








「定期船は…今日はもうないよ」





言葉が聞こえなかったか、理解出来なかったか。

どちらにせよ、三人はピタリと固まった。



「その他の移動手段も、林田さんだけ。となると……今日はもう本州に戻る術はないよ」



少しの間を置いて



小さな島全体に響き渡ろうかという大音声で三人は言った。



「「何ぃぃーーー!?」」


例によって言乃の声は炯斗にしか聞こえなかったが。



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