空耳此方-ソラミミコナタ-
「ともちー」
朋恵は炯斗を一瞥し、腕時計を見た。
お昼の時間などとっくに過ぎている。だがその樋山が帰るまでは大分ある。
その時――
ぐぅうきゅるる〜…
炯斗の腹の虫が派手に出番を主張した。
「あはは…」
思わぬ声に明後日の方を向く。
朋恵は聞こえよがしにため息をついた。
「何でもいいから食堂で食べられるか聞いて見ましょ」
「おぅ!」
二人が部屋を出て食堂へ足を向けようとした時だった。
「何?」
朋恵が振り返った。
「どしたのともちー?」
「何か声がしたような――」
「誰か!! 誰か手を貸して下さい!」
エントランスへ、すぐさま駆け出した。
角を曲がると三人の人影。
一人は大きな荷物を背負い、もう一人は残る一人を背負っていた。
その背負われている人物は――――
「ことッ……ことのん!!」