空耳此方-ソラミミコナタ-
「アズサさん、あなたはどうして克己さんの所にいたのです?」
アズサは考えるように頬に手を持っていく。
『……悟があの人を見ていた。何か…強い思いを持って。その思いに寄せられて…気づいたらあの人の側に来ていた…』
これは、と炯斗が身を乗り出す。
「なぁ、昨夜の十二時頃は克己さん何してた?」
アズサはそっと首を振った。
『わからない……その間は、悟を探していた。悟が何故、あの人をそんな目で見るのか…聞きたかった』
「ダメか…」
炯斗は息を吐いて身を戻した。
だんだん幽霊に対する抵抗がなくなってきた恵は、おもむろに口を開いた。
「あの……こんなこと聞いたらいけないのかもしれないけど……アズサさん、あなたはどうしてここに残っているの?」
アズサは、ゆっくりと振り向く。
怯えるように体をビクリとさせるが、真っ直ぐに見つめ返し引かない。
『悟が……私が死んだのは自分のせいだと…いつまでも…いつも……けど…私は違う。悟のせいじゃ、ない』
最後だけ、彼女の瞳に光が灯った。