空耳此方-ソラミミコナタ-

空気が重く垂れ込めた。


人が死ぬというのは、そう軽いことではない。

どんな要因であれ、残された人々にとって『恨むな』『責任を感じるな』などという言葉は無為に等しい。
、耐えて行くしかないのだ。

それでも、耐えられない残された者はいる。

先立った者たちはそれを望まない。


復讐や自らを傷つける行為から遠ざける為なら、一線など越えてもいい。

そう語る、強い瞳。
彼女は、見た目よりもずっと強かなのかもしれない。





「なぁ、それじゃ…ことのんを襲ったやつは見てないか?」

アズサは、顔を上げて炯斗を指差した。

「!?」

驚いた顔で恵と言乃が見つめるが、当の炯斗が誰よりも驚いていた。



『……男……細身…貴方よりは、小さい』

炯斗はほっと胸を撫で下ろす。

「ハハハ…アズサさん冗談キツイぜ。俺を指差すことないだろ!?」

『驚かすと、面白いかと』

「しなくていい! んなところでギャグを追究するな!! 寿命縮まったぜ!!」

クス、とアズサが笑う。
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