空耳此方-ソラミミコナタ-
翌日
花守荘は、静かに朝を迎えた。
朋恵が宣言したとおり、警察は島から誰も出すつもりはないようで、行き場のない客は朝食の後のんびりとすごすようだ。
そのエントランスで、炯斗は大きく伸びをした。
「さぁて!行くかぁ!」
「行くって…どこに?」
恵がげんなりとした顔で問う。
言乃が作った陣のおかげで部屋は霊にとっていい環境となり、アズサと共に一晩をすごしたのが堪えたよう。
ちゃんと眠ることが出来てないのか、隈が出来上がっていた。
その後ろから、言乃が出てきた。
アズサがいないことで、恵の顔色が少しだけ明るくなる。
【私も聞いてませんね。何処に行くんですか?】
「あそこ!」
炯斗は、ピシッと山を指差した。
「あそこって言われても…」
「行き先はよくわかんねぇ。でも──」
光がチラつくんだ。山の先で。
言乃はじっと炯斗を見つめて、言った。
【わかりました、お任せします】
「ことのん?」
恵が驚いた目で言乃を見つめる。
【大丈夫です。炯斗くんに、見えているのなら】
「?」
恵は首を捻る。
そういえば、恵ちゃんにはまだ説明してませんでした。
言乃は手を叩いてから、携帯に向かって、炯斗の力について説明した。
その文面を追ったあと、恵は半信半疑の目を炯斗に向ける。
「本当に大丈夫なの?」
【でも、それで克己さんを見つけたのは事実ですから】
「まぐれじゃないといいけど」
「オイ! 聞こえてんぞ!!置いてっちゃうぞ!」
「あ~はいはい」