空耳此方-ソラミミコナタ-
「後でってなんてノーテンキな」
「フフ、そうね」
「……そんなに笑わなくてもいいじゃん」
すると玲子が克己の頭を撫でた。
克己はブスッとして甘んじる。
「名前、どうしようか?」
小さく咳払いをしながら透が言うと、二人は離れる。
少しの沈黙の後、ポツリと玲子が口を開いた。
「タカラ――はどうかしら?」
「「はあ?」」
「いくら宝物がないからってそれはないだろお前」
透の言葉に、玲子は眉を吊り上げた。
「違うわよ! 三人の名前から取ってるの!」
「えぇー?」
た ちみ
か ざわ
ら い
克己はポン、と手を叩く。
「……あ、本当だ」
「透が言ったとおり、宝物はないけれど……私たちのこの思い出こそ、宝物じゃない?
その宝物は今だけのもの。この場に残せる数少ないものじゃないかな……って」
そう語る玲子の頬はほんのり染まっていた。
克己は、その言葉を聞いているうちに緩んでいた口元に気付いた。
洞窟の壁に凭れかかり、透はニヤリと笑って口を開いた。